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「今度はあたしも行きたいな」
と言うか、行かないといけないよね。けいちゃんのお父さんやお母さんだって、当然、息子が結婚したい、って言ってる女がどんな女か知りたいに決まってる。
でも、けいちゃんは急に焦り始めた。
「いや、まあ、どうせ今度顔合わせとかする時に会うし、無理して千帆がこっちに来る必要はないよ」
「え?」
けいちゃんの思わぬ反応。あたしが、行っちゃまずいことでもあるのかな。
「千帆はそれより、受験勉強最優先にしないと」
「けいちゃん、いつ帰ってくるの?」
「2日かな?」
そのあともけいちゃんは、『行きたくないなあ…』と、2、3回ひとりごちてた。自分の家なのに、帰りたくないなんて変なの。
3日前のけいちゃんとの会話を思い出してたら、またスマホがピカピカ光りだす。ピンクのライト。けいちゃんからだ。
「ち~ほ~? あけまして、おめでとう。今年もよろしくね。勉強、頑張ってる~?」
新年最初に聞いたけいちゃんの声は、めちゃくちゃロレツ回ってない。張り詰めてたやる気が、一気にふにゃりと折れていく。担任の教師が、生徒のやる気削いでどうすんの。
「けいちゃん、酔ってる?」
「酔ってない酔ってない。ちほちゃん、怒った声も可愛い」
「めっちゃ、酔ってるね」
「あ~、そっかな。缶ビール2本と焼酎のソーダ割り2杯と、ワインちょっとくらいしか、飲んでないけど」
「…十分だと思うんですけど」
「あはは、お正月ってことで」
「彼女のあたしは、暮れも正月もなく、机に向かってお勉強してるのになあ」
「はい、そうですね、すみません、ちょっと浮かれすぎました」
チクリと刺すと、急に神妙な声になるけいちゃん。もう、実家に行きたくない、なんて子どもみたいなダダこねるから、あたし、それなりに心配してたのに。
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