第11章 最後の嘘

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「これ、けいちゃんの家族?」 初詣に行った時かな。鳥居の前で5人での集合写真。 「うん、そう。これが親父で、こっちがお袋」 中央に立った、にこりともしないメガネの男の人と、逆に顔を思い切り崩して笑ってる女の人。この人たちがけいちゃんのお父さんとお母さん。けいちゃんは、お母さん似なのかな。笑った顔が、何処となく似てる。 「この人が電話で喋ったお姉さん?」 あたしはけいちゃんの隣に立ってる綺麗な女の人を指さした。けいちゃんが女装したら、こんな感じかもしれない。ひと目で姉弟ってわかるくらい、よく似てる。 この顔で、あのサバケた感じなんだ…。うわ、コワイけど、会ってみたい。 「そう。聡子。口やかましくておせっかいな姉。で、こっちが兄の亮士。兄貴は逆に、無口だし、存在感薄いけど」 けいちゃんと聡子さんとは反対側に、直立不動で立ってるお兄さん。こっちはお父さんそっくり。 家族の肖像。たった一枚の写真で、もっとけいちゃんのことを知ったみたいで、嬉しくなる。 初詣行く前のけいちゃんに、あたし刺々しい態度取っちゃったのに、御守買ってくれて、あたし宛の年賀状用の写真も撮ってきてくれたのかな。
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