出会い

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それは、突然の事だった。 母様の言いつけで、川で洗濯をしていた時 「………へくちっ!」 と小さな、愛らしいくしゃみが聞こえた。 「……………くしゃみ?」 洗濯していた母様の衣を木の桶に突っ込み、声のした方へと向かう。 「たしか、ここいらから……………」 がさがさ、と茂みをかき分ければ 白い衣を頭にかぶった幼いきつねが、そこに鎮座していた。 「お前、どこから来たんだ?」 ひょい、と抱き上げて問えば 「コン」と聞こえ、「コン」と聞こえないような 不思議な声を上げた。 この様子じゃあ、お前がくしゃみしたわけじゃないよな。 ときつねを茂みに戻そうとした時 その目が 「置いていかないで」 そう、訴えているような気がした。 「………………しょうがねぇな。 やれても粗末な粥だけだぞ。」 きつねにそういえば、分かっているのか分かっていないのか にこっ、と笑ったような表情を見せた。 「………………変なきつね。」 白い衣をかぶったきつね、拾いました。 これから、何が起こるのやら。
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