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透明な声
悲しみの淵
君が腰掛けている
湖面に浮かんだ蒼い月
掬うように手を差し伸べても
君には届かない
慣れ合うことで生じた
上辺を撫でるようなことばなんて
なんの記憶も残さないだろう
埋め合わせのことばで塞げるのは
目に見えている傷口だけ
寂しさの淵
君は佇んでいる
瞳から零れた透明な糸
拭うように必死で振り払っても
君を追いかけてくる
慰め合うことで生じた
偽善をなぞるようなことばなんて
なんの意味もなさないだろう
隙間だらけのこころを塞げるのは
目に見えないことばだと
だから僕は耳を傾ける
君のみえない声を
ことばにならない声を
僕が唄おう
君が冷たい雨に濡れるなら
僕も冷たい雨に打たれよう
透明な声が聴こえるまで
そっと耳を傾けよう
優しい雨音に変わるまで
ずっと君の傍にいよう
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