部長

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 個室の扉を四回叩くが、変化は無い。当たり前だ。何時も自分がこの個室で頭を悩ませていた時、霊など一度も現れた事など無かった。だから検証する前から僕の勝ちは決まっている。 「バカバカしい」 ドアを押し開けると同時に、軋む音がした。ところが少し開いた所でドアが止まった。何かに引っ掛かったらしい。少しその隙間から中を覗くと、黒い学生ズボンが見えた。 「……」  誰かが入っていたのかも知れないと思いつつも、そのズボンの位置に不自然さを覚える。少し視線を落とすと、そのズボンの下から見えるシューズが確実に地面から数センチ浮いた場所にあるのを見て息を飲む。 はは……そういう事か。これが彼が言っていた霊が居る証明と言うやつか。どうせ人形にでも学生服を着せて個室に吊り下げているのだろう。こんな子供だましが通じるとでも本気で思っているのだろうか? 博はドアを力強く押して個室に入った。個室の壁に紐を掛けてそこで首を吊っている人形が居る。博はその人形を剥ぎ取って翌日の部室に持って行き、みんなに幽霊の正体を見せ付けるつもりで居た。 「……!」 ――一瞬、何が起こったのか解らなかった。
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