1人が本棚に入れています
本棚に追加
部長が荒々しくドアを閉めて出て行くのを見送ると、涼子は明神へ視線を向ける。
「三番目……」
明神が再び呟くと、涼子は頭を悩ませた。三番目……えと、何だっけ?
「そ、それなら、ぼ、僕が調べて来るよ。ど、どうせ保健室登校、だから保健室には、ま、毎日、行くし」
涼子は石塚の言葉でやっと思い出して口を噤んだ。そうだ。保健室のベッドの下に隠れていると男の子が床を這って追いかけて来る。と言うのが確か三番目だ。
「四番……」
「なあ、もうやめようぜ!」
彼の言葉を遮る様に松岡は立ち上がった。
「くだらね~よ。居もしない霊の検証だなんて!」
何時もくだらない霊や鬼の話しを持ち込んで来る松岡がそんな事を言うのが少し意外だった。
「私は面白そうだと思うけどねぇ」
由美がそう言うと、松岡はふてくされた様な顔をして鞄を持つ。どうやら彼の話しに夢中になっている由美を見ていられなくて帰るらしい。まあ、もう部長も居なくなってしまったこの部室に私たちが止まる理由は無いのかもしれないが。
「ぼ、僕も、か、帰るね。じゃあ、明神君、明日の部活、わ、忘れないで、ね」
石塚も鞄を持って立ち上がると、それに便乗して私も鞄を手にした。松岡は未だ鞄に手を伸ばさない由美に視線を送る。
「由美、帰るぞ」
「私は四番目の怪談を明神くんとこれから検証に行って来るねぇ」
松岡が驚いた様な顔をした後、唇を噛み締めていた事に気付いていた。今日入部して来たばかりの彼に松岡の前で色目を使うのはどうかと思う。
「勝手にしろ!」
ふてくされた様に部室を出て行くと、私も石塚も部室を後にした。彼も帰る準備をしていたので検証が終わればそのまま帰るつもりなのだろう。もし、由美と一緒に四番目の怪談を検証して何も起こらなかったら、彼はどうするつもりなのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!