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「……」
読まれている。私はトーストを丸呑みにし冷えた牛乳を一気に飲み干した。
「そんなこと、どうでもいいじゃない。一位になったら嬉しいでしょ、それをあなたと分かち合いたいの、ダメ?」
「ダメじゃないよ」
私はそういって溜息をついた。彼女はこういうタイプなのだ。結婚した私が悪い。
そして今でも好きなのだから、何の文句もない。
「じゃあ占い信じてくれる?」
彼女は潤んだ瞳で私を見る。
「ああ、そうだな。信じることにするよ」
私はゆっくりと頷いた。彼女が喜んでくれるのならそれでいい。彼女のために天文に興味を持つことになったのだから、それで構わない。
「ありがと」
そういって彼女は私の頬にキスをした。そこから熱が膨張していく。
結局、私は彼女には勝てない。星占いは信じていないが、星の巡りで彼女と出会ったこの奇跡だけは信じている。数多(あまた)ある人間の数の中で、彼女と出会い、恋に落ち、結婚することになったのは数字で置き換えることは到底できない。
「ねえ、もう一回していい?」
彼女は返事を聞く素振りを見せながらも行動に移す。
「何をするんだ、朝っぱらから」
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