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私は新聞で自分を覆い隠した。これ以上、彼女の顔を見ることはできない。
「いいじゃない、ねえ」
彼女がそういって新聞を奪おうと緩く引っ張る。あくまで自分自身で閉じろという考えだ。そういう甘え方、嫌いじゃない。
「……仕方ないな」
私はそういって新聞をゆっくり閉じた。彼女を捕まえようと目で追うがどこにもいない。すると彼女が私の目を手で覆っていた。
……やれやれ、朝から激しいな。
私は心も体を期待に満ち溢れ、準備をした。さあ、今からでも始めようじゃないか。
「じゃ、手を離すよ」
嫁はそういって手を離した。そこに映っていたのは最下位に君臨する山羊座だった。
「あ……」
嫁は苦笑いでテレビを見ている。
「でも占い信じてないんでしょう?」
「ああ、でもたった今から本当に信じることにするよ」
私はそういって新聞を再び開いた。
そこには色事で身を持ち崩すと書かれてあったからだ。
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