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「俺は、もう見慣れてるけど、初めて見た奴に取ってはくっそ懐かない野良猫が擦り寄ってきた感覚なんじゃないの? 千歳って、完璧装ってちょいちょい綻んでるから、そう言うの見ちゃった奴がお前に言い寄るのかねえ、と思ったんだよ」  神楽の説明を聞いて千歳は少し笑った。 「俺は野良猫か」 「似てると思うぜ。くっそ懐かない癖に、側に寄って来るようなやつ。見た目は可愛かったりしてさ。茶色いしょっちゅう怪我してる猫って感じ」 「随分具体的だな」  千歳はそう言って、憮然として煙草の煙を吐いて吸いかけの煙草片手に突っ伏す。茶色いとは、千歳の髪の色を揶揄されているのか。 「千歳はそんな外面と愛想百パーセントで誰をどうしたいのよ」 「神楽、お前死ねよ」  神楽の言葉に千歳は間髪を入れずに低い声で言う。それに神楽は少し怯んだ。千歳の声が全てを拒否している事に神楽も気付いた。神楽は千歳の触れられたくない所に触れてしまった。神楽はそれ以上何も言わずに溜息をつく。  それを確認した千歳は突っ伏したまま煙草を吸い込んだ。ゆっくりと吐く煙に自己の感覚を故意に鈍らせる。
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