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「何なの、千歳。あいつには三倍掛け位に態度悪いな」 「……ウザイんだよ。ずかずか勝手に近づかれんの、嫌いなんだ」 「それだけか?」  神楽は千歳の言葉を深追いする。今までそんな事もしなかった。 「神楽も根掘り葉掘り聞くんじゃねえよ。お前も嫌いになるぞ」 「嫌いになってもいいけどよ。千歳が寂しくなって自爆するだけじゃねえか」 「そんなん、しねえからいっそ放って置いてくれ」  千歳は神楽にも苛立ちを覚え、歩く速度を早め先に部室に向かう。寂しくなどならない。千歳は誰にも感情移入をしないのだから、誰かを必要以上に気にかける事もない。今までそうであったのだが、今の千歳は他人の些細な事にすぐに苛立ちを感じる。調子を狂わされる様な気がして、苛立ちは更に増す。
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