ナキババ

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 人が親しい人の死を悼む気持ちは、きっと太古より万国共通のものだった。だから形は違っていても、何かしらの葬儀風習が世界中に存在している。唯物的観点から言えば、遺族のその後の生活基盤を作り直すための政治行為である。  葬儀風習のなかで、これもまた世界中で確認できる泣き屋とでも呼ぶべき稼業がある。参列者に振る舞われるご馳走や遺品等と交換に、故人と縁の薄い人物が葬儀中に泣き続ける、というもの。勿論、ハイエナとかヤクザ的な稼業ではなく、遺族に雇われる場合もある立派な稼業である。
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