第1章

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ふたりで黙々と投げるものだから、あっという間にゲームは終わってしまった。 それでも3ゲームはやったのだけれど、そこでどちらからともなしに、帰ろう――という雰囲気になったのだった。 どんよりとした雲に覆われていたのは、空だけではない。 私と〆くんの間にも、そんな空気がずっと纏わりついていた。 “ボウリングも難しいね” 私はふと漏らした。 “だね” 〆くんはそうとだけ応えた。 歩いて来た私に付き添うように、彼は自転車を押して歩きながら帰途についた。
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