第2章

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安住さんがそう言った数分後、エレベーターが一階まで降りてきた。フロントからはよく見えないが、エレベーターの階数表示のランプがチラッと見える。 それが一番左端に来ると一階だ。地下はない。 「おっはよーう」 軽い挨拶と共に片手を上げ、フロントに来る男性。上質な仕立てのスーツに、ピカピカの革靴。大きな会社の偉い人かなと憶測。 「おはようございます」 安住さんに合わせて僕も頭を下げる。男性は安住さんに部屋のキーを渡すと僕を見た。 「お、最近入った子だよね」 「はい、いつもありがとうございます」 いつもより口角を上げる、というか横に引き伸ばしてる感覚で浅く頭を下げた。 「うん、毎月来るからね。次もまた来るよ」 「お待ちしております」 安住さんが「いつもありがとうございます」と声をかけると、お会計が始まる。 僕はあまりその手元を見ないようにしながら、ロビーに視界を広げた。 そのうちに会計が済み、思ったよりも少ない荷物を持って表にまわったタクシーに乗り込んでいった。 「今のは、超常連客だよ。顔、覚えられるかな」 「努力します」 だから、週に二回しか……。
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