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味噌汁は玉ねぎとナス。炊き込みご飯は圭の分しかないから、僕は昨日貰った惣菜パンを温めた。あとは昨日作った野菜炒めを半分こ。
ちゃぶ台に皿を並べて座ると、圭が不思議そうな顔をする。
「今日は、食べるのか?」
「僕は朝食は欠かさないよ」
「昨日は食べなかったじゃん」
恐る恐る口を開くのはなんでかな、圭。僕は怒ってないってば。
「パン屋のバイトの時は、食事出してもらえるから」
「そっか、それとさ。なんで俺と伊万里の味噌汁、具が違うの?」
圭のお椀にはさっき作った玉ねぎとナスの味噌汁、僕のは昨日の豆腐とネギの味噌汁だ。
その日食べきる分しか作らないから、どっちかが食べないとずれるんだ。
「別に……余ったら、もったいないじゃん」
いただきます、と食べ始めると、圭は勢いよく味噌汁を飲み干した。当然作りたてだから熱いんだけど。
「あっつ……ぅおかわり!」
お椀を差し出す圭の涙目を見ながら、僕は仕方ないなとお椀を受け取った。
今朝の味噌汁は、夜の二杯で売り切れそうだ。
食べ終わった食器を下げて、キッチンで首筋を撫でる。
今朝、圭の吐息が撫でた、後ろ首。
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