第2章

4/27
前へ
/385ページ
次へ
味噌汁は玉ねぎとナス。炊き込みご飯は圭の分しかないから、僕は昨日貰った惣菜パンを温めた。あとは昨日作った野菜炒めを半分こ。 ちゃぶ台に皿を並べて座ると、圭が不思議そうな顔をする。 「今日は、食べるのか?」 「僕は朝食は欠かさないよ」 「昨日は食べなかったじゃん」 恐る恐る口を開くのはなんでかな、圭。僕は怒ってないってば。 「パン屋のバイトの時は、食事出してもらえるから」 「そっか、それとさ。なんで俺と伊万里の味噌汁、具が違うの?」 圭のお椀にはさっき作った玉ねぎとナスの味噌汁、僕のは昨日の豆腐とネギの味噌汁だ。 その日食べきる分しか作らないから、どっちかが食べないとずれるんだ。 「別に……余ったら、もったいないじゃん」 いただきます、と食べ始めると、圭は勢いよく味噌汁を飲み干した。当然作りたてだから熱いんだけど。 「あっつ……ぅおかわり!」 お椀を差し出す圭の涙目を見ながら、僕は仕方ないなとお椀を受け取った。 今朝の味噌汁は、夜の二杯で売り切れそうだ。 食べ終わった食器を下げて、キッチンで首筋を撫でる。 今朝、圭の吐息が撫でた、後ろ首。
/385ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加