第2章

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部屋着のティーシャツを脱ぎかけたところで手を止めた。 「圭、なんで見てるの。ていうか、まだいたの」 洗濯カゴを抱えたまま、圭はジッと僕を見ていた。さすがにいくら男同士でも、共同浴場とかでない限り着替えは見られたくないな。 「圭」 「え、あぁ、ごめん。洗濯、洗濯っ」 動きを見せない圭に再度声をかけると、ハッとして寝室スペースから出ていった。 無事に着替えを済ませ、寝室を出る。ネクタイだけは昔から苦手で、職場に着いてから誰かにやってもらっている。そのため今は首回りがフリーだ、ついでに暑いからボタンも二番目まで外してる。 「じゃあ、行ってくるから」 洗濯機まで行くと圭はちょうどスイッチを押したところだった。全自動って便利だよね、奮発して買った甲斐があった。 「あれ、伊万里。ネクタイは?」 「あるよ。でもうまく出来ないから、あとでやってもらう」 ポケットから丸めたネクタイを見せると、圭はちょっと考えた顔をした。素直に表情が変わるからわかりやすい。 「貸してみ、やってやる」 「暑いからいいよ」 断る僕。 「バカ、見て覚えろって言ってんの」
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