第2章

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そうだろうか。いや感情が表に出ないのだから、素直とは言えないだろう。 「いえ、僕は……」 うつ向く僕に、柿崎様はゆっくりと首をかしげた。 「あまり興味が無いだろう、うん。悪かったね、伊万里くん」 「そんな、すみません、えっと」 「いいんだよ、うん。わかりやすい子だねぇ」 薄い眼鏡のレンズがライトに反射する。でも驚異とか、圧迫感のようなものはなく、ただ柔和な目元を隠しただけだった。 「うん、わたしの他にもきっと、君をよく理解してくれる人が表れるだろうね。その人が君の事を、君の価値を理解してくれるといいねぇ」 「僕はそんな……」 価値なんて。 伊万里焼や古伊万里のような価値なんて、僕にはない。そんな風に言われてしまったら、僕は父に反抗心を持つかもしれない。 見る人によって僕の価値が変わる。それはよくある事だろう。同じ価値の人間なんていない。 目の前で二人の人が川に流されていて、どちらかしか助けられないなら、どちらを助けるか。それはきっと、より親しい人間に手を伸ばすだろう。 僕は誰を助け、誰を見捨て、そして。 誰が手を差しのべ、誰が背を向けるのだろう。
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