見てはいけない!

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只今より3番線に電車が到着します、白線の内側まで、お下がり下さい… 斉藤 沙弥は夕方のラッシュを過ぎた駅のホームにいた。 「疲れた…」沙弥は昼間の上司とのやり取りを思い出して、深いため息をついた… お待たせしました、3番線に区間急行、あざみ台行きが到着いたします、危険ですから白線の内側まで下がってお待ち下さい! ガタン、ガタン… 沙弥の前に滑り込む電車を見つめ、沙弥は帰りの食事の事を考えていた。 何を食べようかな… プシュ~ 電車の扉が、音を立てて開いた。 沙弥は車内の空いている席を探した。 ラッシュを過ぎたとはいえ、帰宅の人々が、まだ多く、空いている席は少なかったが、少し狭い隙間の席を見つけると、素早く席に滑り込んだ。 ふぅ… 良かった… 沙弥の自宅の最寄り駅まで、この電車で22駅、区間急行だから停車駅は16駅だ、いつものように、目を瞑り考え事をしていれば、あっという間だ。 沙弥は目を閉じた… 隣の男性はカチャカチャと忙しなくパソコンのキーを叩いていた。 そんなに頑張っても、会社は貴方を数字でしか評価しませんよ… 沙弥は皮肉混じりに、そう思った… 多分左の座席の一つとばした席は、女性だ…仕事は…多分、お水… フレグランスのキツさ、脚を組み替えた時のヒール音はパンプスではなくハイヒールだろう… 早くタクシーで出勤出来るくらい売り上げが上がると、いいわね… 沙弥は勝手な妄想で微笑した… ガタン、ガタン…     カツッ! 誰かが私の前に立った… 他に立つ場所ないの…? 沙弥は目を瞑りながら、スカートを膝まで伸ばし、そのまま手を置いて、スカートが乱れないようにした。 沙弥が目を閉じている間、前に立つ男?らしき人物は、絶えず脚をうごかして落ち着きがなかった、沙弥はこの席に座った事を後悔した… 最悪だわ…ゆっくり瞑想もできない… ふぅぅ~ 次の瞬間、沙弥の頭の辺りで、生臭い息とため息が感じられた! ゴゴゴゴゴゴ・・・・・! 何っ!今の気持ち悪い息は…
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