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「あっ明義!お願い、すぐに来て、ブレーカーが…壊れちゃったのよぉーっ!」
彼氏は直ぐに向かうと言って電話を切ったが…
よくよく考えて見れば…彼氏が来た処で…表の亡霊達をどう回避して来るのか…
咲良は息を殺して部屋の中で小さくなっていた…
ブォォ…
パァァァァ…
車のエンジン音にクラクション…明義だ!
咲良は窓を開けると、脇の道に止めた車の明義に叫んだ…
「明義ぃぃーっ!ダメぇぇ!外の通路にウジャウジャ居るのぉぉーっ!」
咲良が叫ぶと明義は言った…
「窓から飛び降りろ!俺が受け止めてやる!」
咲良は2階…その車までの距離は、経験のない高さだった…
「ダメぇぇ!飛べない…飛べないよぉぉ…明義ぃぃ…」
咲良の様子を見て明義は、すぐに決断した…
「俺が引き付ける…外の通路に奴らが居なくなったら…走れ!いいな!」
咲良は泣きながら無言で頷いた…
明義が車のルームライトを消して表に出ると…
一気に亡霊達は明義に迫った。
ガタガタガタ…
咲良は初めてこの、歩行禁止区域の恐怖を実感した…
明日… 今夜を乗り越えて明日の朝になったら…
引越しをしよう…
ドンドンドン…
「俺だ!早くしろ、時間がないぞ!」
明義の声がドアの向こう側から聞こえた!
来てくれたんだ…
待たないで…危険を顧みず…あたしの為に…
咲良の頬を一筋の涙が零れた…
今夜を乗り越えて… 明日不動産屋さんに行ったら…
明義に言おう…
一緒に住みませんか…って…
咲良はドアを開けた…
ガチャ…
「急げ…早く仲間になるんだ…!」
明義の顔は、蒼白く…顔の至る場所に赤いヒビが入っていた…
瞳は…金色だった…
その…少し前まで明義だった何者かは…歪んだ笑いで、明義の声で言った…
「結婚しよう………グフッ……ガハハハハハハハハ…」
終わり
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