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男性から聞いた内容は、恐ろしく…非現実的で沙弥には理解しがたい内容だった。
沙弥が利用している電車の、柿橋駅20時43分着の沼尻駅行きの電車に限り、奴らは乗ってくるのだという…
男性いわく、奴らとは、魔界と人間界の狭間の空間に住む、人ではない存在らしい…
奴らが乗る車両も限定されていて、土盛り駅から弦街駅までの5駅に限られているとの事だった、しかし、その車両に乗り合わせた人は、運が良ければ寝ているが、目を開けている人が 奴ら を目視してしまうと…喰われてしまうとの事だった…
「喰われるっ!」
沙弥は思わず大きな声を挙げた。
「しっ!お願いですから、これ以上奴らに感ずかれる行為は止めて下さい!」
男性は慌てて沙弥を諭した。
「すみません…でも、喰われるって…そんな電車で人がいきなり居なくなったら、いくらなんでも、マスコミや警察がうごきますよ。」
沙弥はいささか呆れたが、自分の理論をぶつけて、男性が返すかどうかの反応を見た…
「喰われるって事は…消えるんですよ…人間界の存在として…無かった事になるんですよ…この世に生まれなかった存在に…」
沙弥は予測していた回答ではない言葉を、男性から聞いて、少し興味が生まれた。
いづれにしても、暇潰しには丁度いいわ…この人にナンパされたら嫌だけど、空想話なら、少し良いかも…
次は~平木ヶ原~!平木ヶ原~!
お降りの際はお忘れもの等、ござませんように~
車掌のアナウンスで、間もなく平木ヶ原駅に到着する事が解ると、沙弥は残りの自宅までの駅を確認した…
あと9つか…
プシュ~ 平木ヶ原~平木ヶ原でございます。
沙弥は目を閉じたまま…乗車する足音を聞いた…
ガシッ…! ガシッ…!
明かに靴を履いている足音ではない…
何か…こう… そう、獣が歩いてるような!
沙弥は薄く目を開けた…
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・!
よつん場で歩く、人ではない者…
首がやたら長く、指先が尖った女性に近い人ではない者…
本当だったんだ!
ギャァァーン・・・・・!
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