惨劇のメッセンジャー

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惨劇のメッセンジャー

謎の消息を断った、航空機事故で奇跡の生還者がいた。 テレビ各局は、奇跡の生還者を熾烈な争奪戦を繰り広げた結果… 民放一位のNBSが、争奪戦に勝利した。 世紀の生還者を見ようと、放映時間前から視聴率は、うなぎ登りに上がった… 「今晩は…ニュースマイタイムのお時間です、本日は、先日歴史的な惨事となりました、AIR-EDGE航空機の事故におきまして、奇跡の生還を遂げられました、五藤 寿々子さんにお越し頂き、その時の状況などを、詳しくお聴きしたいと思います…コメンテーターは航空評論家の岩坂 明正さんに、事故のメカニズムなどについて、お聴きいたします、岩坂さん、よろしくお願い致します…」 メイン司会者の小牧 由佳理は、少しトーンを控えながら言葉を発した。 「まずは、岩坂さん、今回の事故について、左舷尾翼の破損が原因とされていますが、これについて、いかがですか?」 司会者に促され、航空評論家はチラリと生還者を見てから言った… 「左舷尾翼が破損する場合は…」 航空評論家が、自分の知識をひけらかす瞬間だ…一般人に解りやすく説明しながらも、ポイントで航空関係の専門用語を織り混ぜる… 由佳理は、幾度となく聞いている、航空機事故の講釈に、少し退屈をしていた。 なんで航空評論家って…こんなに会話がつまんないんだろ… 「それでは…五藤さん…お辛いでしょうが…事故の内容について、お聞かせ下さい…」 「飛行機が…急激に落下する前に…尾翼に何かが突っ込んだような気がしました…それから飛行機は急降下を始めると…私は意外に冷静でした…回りは、慌ててシートベルトを締めたり…ククッ…そんなもの役に立たないのに…ククッ…」 五藤は薄笑いを浮かべながら、淡々と話し始めた… 「おいっ!あの女、おかしいぞ。」 プロデューサーはモニターを見ながら、その不気味な語りに、危機感を感じ始めていた… 「い…岩坂さん、尾翼に何かが突っ込んだとは…何だと思われるますか…」 由佳理は慌ててコメンテーターに話を振ると、五藤を見つめながら恐怖した… この女は…正常じゃない…恐らく事故の後遺症が原因しているんじゃないの…?image=509406534.jpg
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