めざめ

17/52
前へ
/52ページ
次へ
黒のサラッと伸びたロングヘアー。 すべての人を引きつけるような澄んだ黒い大きな目。 華奢な体に雪のように白い肌。 『麗夢(れむ)?。』 俺はその名を呟いていた。 夢にも出てきたあいつによく似ている。 『あ、悪い。それで何か用かな?。』 そうだ。あいつはもう居ない。 俺は冷静になって苦笑いしつつ、その少女の用件を聞いた。 『ごめんなさい。急に話しかけたりして。本屋さんを探してまして。どっちに行けばあるのかなって。』 彼女は本当に申し訳なさそうに俺に聞いてきた。 しかし、案内図を見ればわかるだろうに。 俺は近くに案内図がないか探した。 するとすぐそばにあったので俺は本屋の場所を確認する。 『本屋はここをまっすぐ行ったらあるよ。結構でかいからすぐ分かるよ。』 俺は笑顔で言った。 愛想よくしないといつ依頼主になるかもわからないからだ。 だから、あんまり得意ではないがいつも愛想よくするのを心がけてる。 『すみません。ありがとうございました。』 彼女はそう言って俺に眩しいばかりの笑顔を見せ、去っていった。 『お待たせー!。黒夢君!。』 俺がまたしばらくぼーっとしている大声で東谷さんは俺の顔までぐいっと自分の顔を近づけてきて言った。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加