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「あれ~、おかしいな。なんで初期化されないんだろ。」
あれ、おかしいな。俺の手だよな。ピンクでぷにぷにだー、ワーイ。
「契約書どこにやったかな。」
...常識ってどこにいったんだろうな。
「ん~?...あぁ、不履行になってるよ。」
猫の尻尾って引き出しを開けたり紙を持ったりできたんだ~。なんか引き出しに隠してた鰹節を漁ってる猫にも見えるな。あれは可愛かったからつい眺めてしまったけど後片付け大変だったわ。
「おーい、そろそろ現実に帰っておいで?」
「...ニャッ?!」
「で、君はどうしたら死んでくれるの?」
「ニャ?ニャオン?(え?たぶん確実に死んだろ?)」
あの高度で紐なしバンジーして生き残れるのは人間じゃないな。今猫っぽいけど。
「いや、きっちり死んだらあの世に逝くでしょ。」
「ナー?(逝く気満々だったけど?)」
先程探しだした書類を尻尾で器用にピラピラさせながら読み上げる。
「んー、順風満帆で出世街道まっしぐら、趣味を満喫し、悔いなく死ぬこと。天寿を全うし、楽しく生きて人の温もりに包まれて逝けるとなおよし。」
「ニャン?(なにそれ。)」
「...にゃーにゃー鳴かなくても聞こえるよ?脳内独り言を外に向ける感じ?口を開かず話すとか、好きな子に振り向け~って念を送る感じで。いい加減二重に聞こえてうっとおしいよ。」
聖徳太子なら10人までいけるよ...ってそれは内容もバラバラか。外に向けてない独り言は聞こえてないよな?聞こえてたら恥ずかしくて死ねるんだけど。
(こんな感じ?)
「そそ。で、これは君のご両親との契約書。報酬は超熟成鰹節100㎏、をお爺さんに夢枕で頼んだみたい。君の延命のために手付に3割前払い。なんで履行されなかったのか知らない?鰹節欲しいんだけど。」
(あー。たぶんだけど。報酬がなくなったからじゃない?)
「...え?」
(保管されてた鰹節を、たぶん身内の誰かが食べたか売ったか捨てたかしたんじゃない?爺様死んだからその辺うやむやになって。)
「あちゃー。それでこんなややこしいことに。」
(と言いますと?)
「報酬が無くなったことで契約が切れて君が死んだのか、契約内容の大半を満たさずに君が未練なく死んでしまったからか知らないけど、手付けの分だけ中途半端に残った、のかな?もらった分は食べちゃったし。」
(死んでるのに延命なの?)
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