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(え、ここどこ?地球じゃないの?)
「ここは私の楽園さ。天国とかあの世と同様に、明確な場所はと聞かれると困るんだよね。強いて言うならば異次元?彼岸?」
今いる場所が普通じゃないと今更になって気付いた。暖かな日差し、視界は意味不明に煌めいているし、空には月も太陽もある。何故か空中に島が幾つもあり、島によって季節や天候、時間帯さえもまちまちというぶっ飛んだ仕様。大地の方は、まぁ滝が空に向かってたり、木が動いたり、なんか恐竜や妖精っぽいのがいるが、今のところ大丈夫そうだ。
問題は海。
海と行っていいのかわからないそれはまず地表から空までの水の壁である。まるで水族館のようだがガラス等は無く、島が浮くくらいだから物理法則とか無視して表面張力が頑張っているのだろう。もっとも俺は物理を選択してなかったから知らないだけで、最新の研究の結果教科書が改定されたのかもしれないが。
何箇所かトンネルのように水がない部分があり、入口や内部に説明の書いてある所もある、ただし水面に直に、だが。向かって右から左側へと水壁は低くなっていき、端の方では地表に近づいて磯や砂浜になっている。なんか水中に人っぽいのがいるけど気にしたら負け、気にしたら...人魚?!
(これってあれだろ?最近実用化もされてきたVR?テストプレイに応募してたっけ?)
「ここは私のお気に入りさ。温室とか水族館みたいな。ノアの箱舟じゃないけど、希少種だろうが絶滅種だろうが囲ってるんだ。もちろん不自由はさせないように最適な環境作りに手は抜いてないよ。」
(その結果がこの不思議空間か...。)
「相容れない環境を成り立たせるためと、私の趣味かな。いちいち空間分けるよりもこうした方が楽でおもしろいでしょ?」
(...いつ洪水来ても安心だね。)
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