墜落

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ちなみに、じいさまとは父方の祖父のことだ。 なんやかんやで暫く育ててもらったことがあり、僕は大のじいちゃんっ子である。 祖父はセールスや詐欺電話の撃退が趣味の老人会会長で、周りからはじっちゃんとか会長と呼ばれ親しまれていた。 僕が一行で説明するなら物腰の柔らかな老紳士の好々爺とか猫っ被り腹黒確信犯といったところか。 遺産関係のトラブルを見せたくなかったのか、僕の教育資金として用意していた定期預金以外は分配していないらしい。 そのおかげで進学はできそうだが、塾や滑り止めの事を考えると学費が厳しい気がする。 中3の春休みから呪われてるかの如く怪我・病気で入退院を繰り返して1年入学の遅れた僕は、これ以上青春をロスしたくないからアルバイトや浪人は避けたい。 だから僕が18歳になったら開封される遺書其ノ二に縋るしかないのだ。
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