墜落

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4月1日、本日はお日柄もよく、さっきまでの薄曇りが嘘のような青空が見えている。 僕は祖父の最後にして最大の夢のような誕生日プレゼントに惚けていたが、目の前の現実に目を向けると...なんだろう、なんかやだ。 「キミ、意外といい体してるね...。」 「い、いえ、そちらこそ...。」 狭い密室、密着する2人、汗のにおい...背中に感じる大きな胸と包容力の安心感、そして熱い眼差しと空への片道切符だった。 「フフッ...緊張しているの?可愛い...。」 優しく僕を撫でる手にビクッと身を震わせる。 段取りよく動く相手に為す術もないし、そもそも反抗は許されない。 初めてのことに戸惑いながらもプロに任せるしかないのである。 「大丈夫、リラックスして...私に身を委ねて。」 優しい声かけといやらしく、しかし確実に動く手。 時々きつくないかと声をかけられるがが、初めての僕には加減がわからない...ギッチギチだが、このくらいがいいのだそうだ。 僕達はだんだんと昇っていき、遂に達した。 上空5000mの高みへと。 大きな胸(胸筋)と包容力(鍛え抜かれた逞しい身体)、熱い眼差し(?)を背中に感じながら僕は焦っていた。 空が好きな僕にとって人生で最大のイベントになるのは間違いない。 僕の身の危険も最大だ...事故時の死亡率はぶっちぎりだろうし、別の危険も背負っている。 インストラクターの僕を見る目が怖いんだ。 執拗に装備のチェックをし、あちこちをまさぐる。 すでに密着しているので逃げ場はない。 ...ヤバイ、ヤラレル。
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