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ふかふかだ。
あの世って雲に触れるのか...。
僕は朦朧とした意識の中、うつ伏せで顔を擦りつけながら感触を楽しんでいた。
体が沈み込むような柔らかさ、なめらかな撫で心地、お日様の香りと暖かさにゆっくりとした上下の揺れは眠気を感じる。
顔にかかる生暖かく湿った風、体に響くバイブレーション。
ゴロゴロゴロゴロ...ジョリッジョリッ ムフーッ
なんだっけこれ...知ってる、絶対、雲じゃない。
妙な既視感に一気に現実に引き戻され、目を開けると、真っ白な毛。
錆び付いた機械のように、ぎこちなく風上(?)に顔を向けると。
べろん、と顔一面をヤスリで削られた。
「フギャーーーーーーー!!」
このニャンコ野郎!どんだけ可愛いかろうが愛想よかろうがそのヤスリのせいで好感度はだだ下がりだぞこの野郎。しかも顔一面とか!砂浜に顔面から突っ込んでもここまで痛くない、んじゃ...ん?
え...猫?遠近感がおかしい?...え、これ、ネコ...科?
人間より大きい猫なんていたっけ。いるな、目の前に。でもそれって人は猛獣に分類してたような...。
目の前の猫(?)が口を大きく開き、顕になるそれはそれは立派な牙。
喰 わ れ る
「ヴニャーーーッ!シャーーーーッ!」
「ふわ~~っフゥ...どうしたの。」
うわっ、猫が喋ったーーー!
「ニャッ、ミ゛ャーー!」
「...うーん、頭強く打った?いい医者紹介しようか?私だけど。」
お前かーーい!?
「ンニャッーー!?」
「元気な子猫ちゃんだなぁ...。」
「ニャッ、ミャァ?」
あ、あれ?
なんかおかしくないか。
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