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ギャーンと響いた音に、立ち止った。 日誌を書き終えて、漸く玄関から校舎を出て校門までの間の事だった。 聞こえてくるのは始まりだした部活動のいろんな音。 その中で、大きく歪んだスチール弦の音が空気を割って届いてきた。 足を止めたのは、驚いたからではない。 聞こえたノイズが音符となって後ろから私を追い越したから。 背中がぞくぞくして、背筋を伸ばした。 ごちゃごちゃと固まった音たちが窓から洩れ出ている。 次第にそれらは規則的な粒になり、キラキラと輝き、聞きなれたリフを奏で始めた。 ――っ!! 咄嗟に私は踵を返すと、今しがた出たばかりの玄関へと一歩踏み出した。 逸る気持ちに足はどんどん加速し、靴を慌ただしく履き替え、廊下へ飛び出す。 音が聞こえてくる先を見据えるように、階段の上を見上げて駆け上った。 求める音は外に向かって放たれて、廊下には微かに洩れる程度だった。 「はぁ、はぁ、」 息が切れ、肩で呼吸をする。 落ち着く間もなく、私は目の前の、音が洩れる視聴覚室のドアを押し開けた。 途端、軽快なリズムたちが押し寄せる。 規則的に刻まれた音符達は、風に乗って私の髪をなびかせた。 部屋の奥、体を揺らしギターをかき鳴らす背中。 窓から入る夕日が眩しくて、目を細めた。 開け放ったドアはゆっくり閉じていき、 ――バタンッ 後ろで閉まる音がする。 軽快なリズムはハーモニーを残して止まり、揺れる背中がゆっくりと私を振り返った。 スローモーションの様な感覚がして、まるでドラマの様だ。 肩で呼吸していた息は無意識に止めていた。 走ったからか、またはここまで走るほど私を掴んだ何かのせいか。 区別はつかないが、心臓が打つ鼓動は、つい今しがた聞こえていたリズムほど早く打ち付けるバスドラムのようだった。
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