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「子々孫々……伝えよう……か」
歌声を聞きながら思う。
自分はどれほどのことができているのだろうか?
クリエイターとして、思いを伝えると言っても、何をすれば良いのかわからない。
六代目毒婦マチルダを襲名して――何が私にできているのだろうか。
何よりも――
私がクリエイターを名乗っても良いのだろうか?
治安維持部隊にいるころ、あまたのクリエイターを狩ってきた自分が、クリエイターを名乗ることは――許されざる罪のような気がして――。
もっと他にふさわしい人間がいたのではないか?
私は――“ここ”にいて良いんだろうか?
そこまで考えて、パンっと両手で頬を叩く。
「やめよう。ウジウジ考えるのは。それよりオニクだ!! あの男を探さないと!!」
探しだして文句言ってやると、意気込んで、ふと東屋の窓を見る。
「居たぁぁぁ!!」
東屋の中。座って何かを見ているのは――世界のオニク。
「あのヤロウ!! 人に押し付けて、自分はサボりか!!」
そのまま、東屋の扉に向かい、勢いよく開く。
「くぉらぁぁ!! あんた、こんなところで……」
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