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そのまま黙ってしまったオニクに何も言えなくなる。
黙ったまま、絵を見ているオニク――。
『この世にはいない』
マオという名のクリエイターは――もう、生きては居なくて……その原因がなんだったのか。
それはわからない。
政府の粛清による、クリエイター狩りにあったからなのか……それとも他の要因だったのか……。
でも絵を見つめているオニクの表情は……
まるで久しぶりに会った友人に『よう』と声をかけているような……本当に優しい笑顔で――。
声をかけることもできず。
身の置き所をもてあまし。
私はどんな絵があるのか興味を引かれ――近づいて、覗き込んだ。
――刹那。
「うわっ!!」
強い風の音とともに、たてつけの悪くなっていたらしい窓が開き――
風と――遠くから聞こえる、アメイジンググレイスの歌声が私の横を駆け抜け――
絵にかけられていたカーテンが勢いよく捲れ上がった。
絵に午後の太陽の光が射し込み――
そこに浮かび上がった絵は……
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