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そこには――
優しくも儚く笑う……美しい女性の絵があった。
その美しさとは相反するかのように、圧倒的な存在感を見せる絵を見て、確信する。
マオというクリエイターは……“天才”だったのだと――
そして――
オニクが私を見て、ギョッとなる。
「マチルダ……お前、何、泣いてんだよ!?」
「え? あ……いや、なんでって……わかんないんだけど……」
「なんでわかんねぇで泣いてんだよ!! お前は!!」
気がつくと涙が溢れていて――
――――――
――――これは。
これは、私が見た都合の良い白昼夢なのかもしれない。
絵を見た瞬間――声を聞いたのだ。
優しく包み込むような男の声を――
“いいんだよ”
これは……罪から逃れたい私の白昼夢なのかもしれない。
でも、その絵を見た瞬間――許されたような気がしたのだ。
“いいんだよ。あんたはそこにいていいんだよ”
“罪とか罰とか。やるべきこととか。そんなの――そのうち解決するよ”
“そこにいて――思いを形にして――それだけで――”
“ああ……でも、俺……ちょっと、あんたが羨ましい”
“だって……”
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