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「亮平、とりあえず証拠写真撮るから付き合え。」
柊翔の手にはたこ焼き。
俺の手には焼き鳥。
なぜか俺は柊翔に付き合わされて、一緒に自撮りに付き合わされている。
大学進学と同時に、家を出た柊翔は、なかなか要と会う時間がないからと、夏休みは帰るつもりでいたらしい。
帰るったって、頑張れば通えるような距離なのだし、そんな大げさな話でもなかろうに、と思ったが、柊翔にしてみると、そばにいないだけで心配らしい。
・・・まぁ、気持ちはわかる。
俺だっていまだに、宇野に様子を見てもらってるくらいだし。
だからって、柊翔には教えてやる義務はないけどな。
俺と柊翔の二人の画像なんて、要にしてみれば、嬉しくともなんともないかもしれないが。
俺なしで柊翔だけで撮ればいいのに。
「お前、一人で撮ればいいとか思ってるだろ。」
・・・まったく、こいつは簡単に俺の考えを読みやがる。
「お前と一緒のほうが、要も安心するんだよ。」
ニコリと笑う柊翔を見ると、要も心配なんだろうな、と思ってしまう。
こいつはきっと高校時代も相当もててたに違いない。
今だって、一人だと女子に囲まれて困ってるのを、無愛想な俺が一緒に行動することで、少しは減ってるはず・・・。
こんな様子を見たら要が心配するのは目に見えている。
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