466人が本棚に入れています
本棚に追加
「マジか。」
「ああ。」
「え、もしかして、剣道部の人?」
興味津々な顔で俺を見る柊翔。
「・・・ああ」
そして、一瞬、不安そうな顔で聞いてきた。
「それって・・・男か?」
「・・・ああ。」
まだ、気になるってだけで。
要みたいに、手放せない気持ちとは、ちょっと違うかもしれない。
ただ、時折みせる、あの人の優しい笑顔に、目が離せなくなることがある。
「・・・そうか。」
たこ焼きを口に放り込む柊翔。
何か言いたかったのかもしれないが、たこ焼きとともに飲み込んでしまったようだ。
「・・・何かあれば言えよ。俺はお前の味方だからな。」
まったく。
こいつは。
ムカつくくらいいい男だ。
「ああ。」
「あ、俺、焼きトウモロコシ買ってくるわ。」
勢いよく立ち上がると、屋台の並ぶ参道に向かって行った。
俺は手元に残った焼き鳥の串と、プラスティックの受け皿を持って、ゴミ箱を探した。
最初のコメントを投稿しよう!