すれ違い

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「あ。」 なんで、こんなところで寝てるかな。この人は。 確か、宇佐美先輩と一緒にいたはずだったのに。 無防備に眠りこける朝比奈先輩。 この人の寝顔に・・・要の顔がかぶる。 見かけは全然似ていないのに。 要なんかよりも、背はでかいけど、俺より少し小さいくらい。 それに当然剣道で鍛えてるから、けっこういい身体してるし。 何気に女子にも人気があるのに、本人に自覚がないっていう。 ・・・そういえば、未だに別れた彼女に未練があるのか、彼女もいないらしい。 無愛想な俺にも、よく声をかけてきてくれて、気さくに微笑んでくれる。 そんな朝比奈先輩の視線を感じるようになったのは、夏に入る前からだったろうか。 先輩の視線に追いかけられていることが、何気に嬉しくて。 時々意識して見返すと、フイっと視線をはずす。 そのやり取りが、少しだけ、俺の気持ちを浮き立たせていたなんて、あなたは知らないでしょうね。
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