すれ違い

3/17
前へ
/17ページ
次へ
「えー、馳川くんも、鴻上くんも彼女いないの~?」 部員で2年の平坂 萌菜(ヒラサカモエナ)が、新歓の飲み会で2人にべったりはりついていた。 イケメン2人の両サイドは2年女子にガードされ、1年女子は離れたところから、物欲しそうに眺めてる。 そんな女子同士の牽制風景を、羨ましくも、正直、めんどくせー、なんて思いながら俺はチビチビとビールを飲んでいる。 「朝比奈(アサヒナ)、そういや、この前の合コン、なんで来なかったんだよ。」 俺は朝比奈雅人(アサヒナマサト)。大学3年。世の中の女子はメガネ男子とか言って、盛り上がってるが、残念ながら、俺自身はその中に含まれないらしい。 「あー、すいません、急にバイトはいっちゃったんですよ。」 4年の和泉(イズミ)先輩が、すでに酔いがまわってるのか、目が座ってる。 酒が弱いくせに飲むから、毎回誰かしら、絡まれる被害をこうむる。 「なーにー?バイトより合コンだろ、合コン!」 「いや、バイトですって。」 苦笑いしながら、和泉先輩の空いたグラスにビールを注ぐ。 「ったくよー、お前のためにセッティングしてやったのによぉ」 いきなり首に手をまわされ、耳元で言うには少し大きな声で言うから、思わず身をそらしてしまう。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

466人が本棚に入れています
本棚に追加