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「えー、馳川くんも、鴻上くんも彼女いないの~?」
部員で2年の平坂 萌菜(ヒラサカモエナ)が、新歓の飲み会で2人にべったりはりついていた。
イケメン2人の両サイドは2年女子にガードされ、1年女子は離れたところから、物欲しそうに眺めてる。
そんな女子同士の牽制風景を、羨ましくも、正直、めんどくせー、なんて思いながら俺はチビチビとビールを飲んでいる。
「朝比奈(アサヒナ)、そういや、この前の合コン、なんで来なかったんだよ。」
俺は朝比奈雅人(アサヒナマサト)。大学3年。世の中の女子はメガネ男子とか言って、盛り上がってるが、残念ながら、俺自身はその中に含まれないらしい。
「あー、すいません、急にバイトはいっちゃったんですよ。」
4年の和泉(イズミ)先輩が、すでに酔いがまわってるのか、目が座ってる。
酒が弱いくせに飲むから、毎回誰かしら、絡まれる被害をこうむる。
「なーにー?バイトより合コンだろ、合コン!」
「いや、バイトですって。」
苦笑いしながら、和泉先輩の空いたグラスにビールを注ぐ。
「ったくよー、お前のためにセッティングしてやったのによぉ」
いきなり首に手をまわされ、耳元で言うには少し大きな声で言うから、思わず身をそらしてしまう。
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