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「先輩、耳元で声、でかいっすよっ。それに、なんで俺のためなんすかっ。」
まわされてた手から逃れると、ムスッとしながらビールを口に運ぶ。
「だってよぉ、お前、香里奈(カリナ)と別れてそろそろ半年くらいだろ。もう、次の相手探してもいいだろうがよ。」
まったく。
人の恋愛よりも、自分の恋愛の心配をしろと言いたい。
「大きなお世話ですよ。」
俺は立ち上がると、和泉先輩の声を無視して、トイレに向かった。
この居酒屋では、うち以外にも飲み会が入ってるらしく、盛り上がってる声が聞こえてくる。
先輩に飲ませながら、俺も少し飲みすぎたかもしれない。
「朝比奈先輩、大丈夫ですか?」
俺の後から現れたのは、噂のイケメン、馳川だった。
"未成年なんだから!"と、女子たちに男どもからの酒攻撃をガードされてたけれど、少し顔が赤らんでいるところを見ると、何気に飲まされてたのかもしれない。
俺もけしてチビではないが、こいつと並ぶと自分が小さく感じる。
黒い短髪と精悍な顔つきで、少し大人びて見える。
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