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「ああ、大丈夫。お前は?」
「大丈夫です。ちょっとトイレに行くからって、抜け出してきました。」
お互い用を足すと、他愛無い話をしながら席に戻った。
馳川とは学科が違うし、部活でもあまり話す機会がなかったが、少し無愛想なイメージだったのが、ちょっと話をしてみて印象が変わった。
確かにあまり笑顔をみせるタイプではないし、おしゃべりなタイプでもない。
でも、ふとした瞬間に見せる笑顔は、女子がほっとかないだろ、と、俺ですら思った。
その飲み会をきっかけに、俺と馳川は、時々、部活以外でも話をするようになった。
といっても、校内で会う機会はそう多くはない。
それでも、チラッと姿を見かけると、お互いにどちらかともなく声をかけるようになった。
練習中は、やはり馳川と鴻上の2人が抜きんでている。
彼らの勢いにみんなが乗せられたように練習に励むようになった。
それは俺も同じで、2人には実力的にはかなわないまでも、一矢報いることができるくらいにはなりたい、と思うようになった。
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