第1章

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「そんなぁ――………………俺、俺まだ二十歳になったばかりで…………童貞なのに、死にたくねよぉ――。 た、頼むよぉ――助けてくれよぉ――」 「うーん、そんな事僕に言われても…………」 その時、着信音が部屋の中に鳴り響いた。 この音は、俺のスマホの音では無い。 死に神が懐を探り、スマホを取り出し電話に出る。 「はい! 僕です。 え! 本当ですか? はい………………はい、分かりました。 指示に従います」 死に神は電話を切ると、俺に話しかけてきた。 「喜んでください! あなたの助命が決まりました」 「本当に?」 「はい、今上司から連絡がありました」 「そうか………………、それじゃサッサと帰ってくれ」 「あ、はい、直ぐ消えます。 と、これ貸して貰えませんか?」 死に神は読みかけの漫画、軽○沢シンドローム全9巻を手に持ち、問いかけてくる。 「ちゃんと返せよ」 俺は死に神にサッサとお引き取り願いたく、返事を返し手で追い払う仕草をした。 死に神は漫画を抱え、ニコニコと笑顔で姿が消える。 死に神が消えてから、俺はカーテンを開いて外を見た。
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