23人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなぁ――………………俺、俺まだ二十歳になったばかりで…………童貞なのに、死にたくねよぉ――。
た、頼むよぉ――助けてくれよぉ――」
「うーん、そんな事僕に言われても…………」
その時、着信音が部屋の中に鳴り響いた。
この音は、俺のスマホの音では無い。
死に神が懐を探り、スマホを取り出し電話に出る。
「はい! 僕です。
え! 本当ですか? はい………………はい、分かりました。
指示に従います」
死に神は電話を切ると、俺に話しかけてきた。
「喜んでください!
あなたの助命が決まりました」
「本当に?」
「はい、今上司から連絡がありました」
「そうか………………、それじゃサッサと帰ってくれ」
「あ、はい、直ぐ消えます。
と、これ貸して貰えませんか?」
死に神は読みかけの漫画、軽○沢シンドローム全9巻を手に持ち、問いかけてくる。
「ちゃんと返せよ」
俺は死に神にサッサとお引き取り願いたく、返事を返し手で追い払う仕草をした。
死に神は漫画を抱え、ニコニコと笑顔で姿が消える。
死に神が消えてから、俺はカーテンを開いて外を見た。
最初のコメントを投稿しよう!