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あれから50年後、俺は死に神が俺の命を刈り取りに来てくれるのを、首を長――くして待っている。
あの日、カーテンを開けた俺の目に映ったのは、首都圏の方角に次々と立ち上がる、キノコ雲だった。
キノコ雲を見た翌日くらいから、髪の毛が抜け、歯茎から出血し、身体中に鬱血の痣が広がる。
食い物を求め、焼け野原になった街をさまよい、スーパーがあった辺りから、缶詰めやレトルト食品を掘り出す。
それらが無くなると、放射能で突然変異した植物や動物を狩り、食っている。
死に神が漫画を返しに来たとき、あの時の電話の内容とこれからの事を話してくれた。
全世界に70億以上いた人間のうち、生き延びた数千人を除き、その大半が地獄に落ちてきたため、地獄の機能が麻痺し受け入れがストップ、その影響で命の刈り取りもストップしたとの事。
そして死に神の業務再開は、地獄の機能麻痺の解消次第だが、5~60年後と言っていた。
ああ、お願いだ――! 早く俺を迎えに来てくれ――!
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