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柴田麗は先を急いでいた。
彼は常人より少しばかり身体が弱い。
おかげで留年はしないまでも出席日数はぎりぎりだ。いくら成績が良く、テストの点数が高くても、出席日数や相応の課題が間に合わないとなると話は別。
彼は、休んでいる間に出ていたレポートを片付けるのに数日では効かないくらいの日数を費やし、忙殺される日々を送っている。
今もそうだ。
今日中にレポートを出し、休んでいた分の講義内容を調べておかなくては。
病み上がりとはいえ、辛いものだな。
彼は肩にかけた上着の袖を胸元でゆるく絞った。
「女々しい仕草しやがって。人の目をいつも意識してるんだろ」
口の悪い友人がいたら見とがめて言う。幸い今日は近くにはいない。
他人がどう思おうと私には関係ないことだ、好き好んでこの顔に産まれたわけじゃなし。
勝手にのぼせ上がるなら上がればいい。
実際、彼は女はもちろん男の目から見ても整った顔立ちをしていたので、見てくれだけでも注目を浴びやすかった。性格が破綻していればどうかとも思われたが。こちらも問題なかった。というより男前すぎた。
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