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それをヒラリヒラリと避けるカミラク。
踊るような足しさばきは、ワルツを踊っているかのよう。
最も、そのお相手が下劣な笑みを浮かべているようでは、全くもって様にならない。
せめて、優雅に気品をもってやってほしいものね。
「うわぁ、カミラクって魔法なくても普通に強いのか」
優雅に躍り続けるカミラクに、マリクが感嘆の息を漏らす。
もっとも、その感想ではカミラクの本当の強さはまだ分かっていない。
カミラクはただ踊ってるわけじゃない。
二人仕留めるだけなら、卑猥な前口上を言われているうちに終わっている。
それをわざわざ長引かせているのは、連中の体力を消耗させて、マリクが戦いやすいようにしているから。
弱らせすぎず、さりとてピンピンではダメで。
マリクがギリギリ勝てるぐらいに上手く調整している。
「くそ!チョロチョロと逃げ回りやがって!おい!四方から一気にやるぞ!」
声を出した時点でもはや策ではないけど、連中もようやく戦い方を考え出した。
四方から同時に、カミラクに向かって走り出す。
その顔には、相変わらず下劣な笑みを浮かべている。
……多少は疲れているだろうに、その顔面を維持できるのは、スゴイかもしれない。
全く、尊敬できないけど。
とにかく、四方から走り込まれては、地上に逃げ場はない。
と、なればカミラクは当然地を蹴って空へ逃げる。
「へへっ!バカな女がかかりやがった!
手間かけさせやがって!」
リーダー格が、さらに下劣さを極めて笑い声をあげる。
それもそのはず、そこまでは読んでいたらしい連中は、空へと逃げたカミラク目掛けて、二人が仲間を踏み台に高くジャンプしていた。
上空では逃げ場がなくてピンチ!
ってか、どうでもいいけど、剣を思いっきり構えてカミラクを斬りにいってるけど、仮に、それでカミラクを斬ったら、連中がやりたいことはやれないだろうに。
やっぱり、バカばっかだ。
なんて事考えてる間に、カミラクは杖を一人に向かって投げつける。
おバカAの脳天を直撃したらしく、おバカAはカミラクに届くことなく、そのまま大地に墜ちていく。
そんなカミラクにおバカBが近づくも、振り向きもせずに放ったカミラクの肘打ちが鼻先に直撃したようで。
同じように大地に消え去った。
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