真のコーラル

11/12
前へ
/14ページ
次へ
「嘘だろ」 ここにきて、ようやく下劣な笑みが消え、驚いた顔に変わる。 そして次にとる行動は単純で。 「に、逃げろ!」 倒れた仲間など見捨てての逃亡。 しかし、連中の足が動く前に、その鼻先を鋭利な刃が通過する。 セリパが放った投げ斧だ。 ブーメランのような軌道を描きながら、セリパの手元に戻ってきた投げ斧。 それを、少し照れながらセリパはキャッチした。 「エヘヘ、私も離れた敵を攻撃出来た方がいいかと思って練習してました」 いつの間にか戻ってきたカミラクに、頭をポンポンされて、さらに頬を赤らめるセリパ。 こういうときのセリパは、文句なしにスゴく可愛い。 「さて、じゃあ、適当に、戦意も体力も失って、心も挫けつつあるから、マリク頑張ってきてね」 セリパとカミラクをずっと見ているのも申し訳ない気がするので、バカ共と同じように呆けていたマリクの背中を押し、無理矢理前に出す。 すると、連中の目に少し輝きが戻る。 『コイツなら勝てる』 そんなわずかな幻想を抱いて。 そして、再び、戦意を剥き出しに襲いかかってくる。 「うわ、うわ、ちょ、ちょったんま!」 情けない声を出しながら、紙一重のところで攻撃を避け続けるマリク。 とりあえず、生き残るために、真っ先に回避行動を叩き込んだ事はある。 カミラクと違って、大きく、無駄な動きは多いものの、まぁ、とりあえず今回はそれでもいい。 さて、あとは攻撃。 杖での攻撃などしたことないだろうマリク。 『一撃必殺はまだ考えなくてもいい。 とりあえず、当てとけ。 そのうち倒れる』 そんなことをカミラクに言われたらしいけど、それを忠実に再現しているようで、頭でも肩でも、胴、足などなど。 とにかく、隙を見付けたら一発一発を確実に打ち付ける。 ……あれ、鋼で出来てるし、カミラクの一撃必殺より、拷問に近いかもしれない。 何発も打ち付け、一人ずつ確実に倒すマリク。 しかし、やはりまだまだか。 あと一人というところで、バカJに背中をみせてしまい、その隙を逃さず、バカJが大上段から剣を降り下ろす。 しかし、バカJも疲れていたのだろう。 汗で滑ったのか、剣は明後日の方に飛んでいき、何も持っていない手が、悲しく空を切る。 さすがに気付いたマリクの反撃でバカJも倒れ、これにて連中は全滅。 私達の勝利が決まった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加