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翌朝の新聞のトップをみたマリクのはしゃぎようはすごかった。
「へへ、俺の活躍がついに全世界に知れ渡ったぜ!」
得意気な顔をするが、残念ながら君の名前はどこにも載っていない。
ただ、
『悪徳金融、一夜にして壊滅!?
事務所は消失し、組員の全員が重傷』
とだけ書かれているだけだ。
まぁ、でもとりあえずは誉めておこう。
「そうね。確かにボコボコにしてたわね。
でも、分かってるわね?これは吹聴したらダメよ?」
「分かってるって!正義の味方は内緒だからかっこいいんだから!」
そう言って、家の外へと飛び出していった。
多分、先に出たカミラクの後を追っていって、杖での戦い方を教えてもらうのだろう。
ふぅ、これはあとでセリパをなだめるのが大変だわ。
まぁ、でも、カミラクが上手くお膳立てしてくれたことに気付いたのなら、ヨシなのだろう。
……最後のあのとき、私が投げたナイフが、バカJの剣を弾き飛ばしたことに気付けたのならば完璧だけど、さすがにそこまではまだムリか。
そして、なんとなくモヤモヤする私の心も……。
カランと音をたてて、私の前に小さな石ころが転がる。
ーーコーラル
珊瑚から作られたこの宝石の石言葉は、『堪える心』
果たして、私はいつまでこの気持ちに堪えていればいいのだろうか?
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