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その夜。
未だにラブラブモードな二人の横には、疲れきった顔のマリクがいる。
その手には、先端が鋼で出来た杖が握られている。
「それにしたの?」
事の顛末を全て知っているから、特に聞く必要はないけど、社交辞令的な意味もこめて聞いた。
「うん。他のが良かったけど、カミラクがダメだって……」
欲しいものが買ってもらえずに落ち込む子供そのもののマリク。
そっと、カミラクが耳打ちしてきた。
「どうせ見ていただろうから不要だと思うが、一応言っとく。
マリクが手にしていたのは高度なルーン文字が刻まれていたやつだ。
今のマリクだと、ルーン文字の魔力に振り回されて自滅するのが目に見えたから、身の丈にあったものにしておいた」
……でしょうね。
それでも、杖に"マリク"と名前を彫ってもらっているあたり、少しはカミラクも甘やかしたのだろう。
その証拠に、少しセリパが不満顔をしている。
こちらは、大好きなご主人様が、赤ちゃんにかかりっきりで構ってくれなくて膨れている子犬か。
まぁ、それでもとりあえずはよし。
「じゃあ、行こっか?」
私の声に、とりあえずは全員の声が綺麗にはもって返ってきた。
「おー」
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