旅の途中

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何を探しているか、全然覚えていない。 何故探しているのかも。 だけど、必要なんだ。探す事が。 だけど、ずっと探していて疲れてしまった。疲れたなら休む事も必要。そうだろう? ふと目にした建物の側まで行って、座れるところがないか、辺りを見回す。ちょうど良く段差が有って、そこに腰を下ろした。ふぅ……と溜息をついて、足を投げ出す。それから空を見上げて、深呼吸して。ゆっくり目を閉じた。 目を閉じれば、疲れた身体が悲鳴をあげていて。足がジンジンしている。太腿が痙攣しているから、普段使わない筋肉が強張っている感じ。それだけ長い間歩き続けている事の現れ。 ぼくは一体何を探しているのかなぁ。 ぼくは一体何を見つけたいんだろう。 すっかり忘れているのに、探す事だけは覚えていて。忘れているんだから辞めればいいのに、辞める事が出来ない。だって解るんだ。 いつか必ず探し物が見つかる事を。それだけは確信出来る。だったら諦める訳にはいかない。探す物が解らなくても、大丈夫。何を見つけたいか解るんだ。解るはず。いや、思い出すのかもしれない。とにかく、必ず探せる。 だけど。今は休みたい。ただそれだけ。
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