福を与える薬

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 次の日。  仕事が休みの私は昼過ぎまで寝ていた。 「あっ、祐二ったら……まだ寝てたの?」 「……沙良?」  寝ぼけ眼の視界に、呆れ顔をしたワンピース姿の可愛らしい女子高生が映る。 「今日はデートする約束でしょ? さあ早く準備して!」  玄関の鍵を掛け忘れたのだろう。勝手に家へと入って来た沙良は、長い髪を舞わせながら散らかった部屋を片付け始めた。 「そうか、映画を見に行く約束してたな。ごめん、ちょっと待ってて」  すぐに着替えて髪をセットし、沙良と腕を組んで映画館へ向かう。  そして、すれ違う人達は振り返って私達を2度見する。  その理由は明白だ。何故なら、私は39歳。来月の誕生日を迎えたら40歳になる。それに対して沙良は16歳。  父と娘ならまだしも、援助交際だと思われてもおかしくない。  近所に住む沙良は幼い時に交通事故で両親を亡くし、祖父母に育てられている。  元々沙良の家族とは仲良くさせて貰っていた為、不憫に思った私は出来る限り老夫婦と沙良を助けてきた。  そして父親と私を重ねて見ていたはずの沙良は、いつしか恋心を抱くようになっていた。
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