福を与える薬

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 疲れが溜まる週末。  仕事を終えて人気のない道を歩いていると、後ろからフードを被った老人に声を掛けられた。 「あんた、困ってるね?」 「あっ、急いでいるので……」  見るからに怪しい。  月明りに照らされたその人は、まるで童話に出て来る魔女の様な格好の老婆だ。  絡まれるのは勘弁と思い、逃げようとした私に老婆はこう言った。 「若返りたい……誰もが考える事だが、あんたは強く願っている」 「……どういう事ですか?」    心の奥を見透かされた感じがして、思わず足を止めてしまった。
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