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≪仲間だと思ってるの?誰を?≫
「誰って…大切に思ってる人達、全員だよ!」
≪ハッ、君を其の小さな鳥籠に閉じ込めた奴等が?君を、この下らない因果の柵に巻き込んだ張本人達を、仲間だって言うのか?≫
再び心が揺れる。
何故だろうか、白夜の言葉を拒絶出来なかった。
≪だから僕が来たのに。君が迷わない様に。あの時、僕の手を取れば君は帰れたんだ。風の在る場所に!≫
「風の在る…場所…」
記憶までが揺れる感覚に襲われる。
初めて聞く筈の其の言葉を、知っている気がした。
≪君が全部悪いんだ。君が全部壊した!この世界の秩序も、歴史も、均衡も!君が!!≫
「止めて!!」
ユメイは耳を塞ぐ。
鼓動の速さに呼応する様に、“風”が忙しく鳴いているのが解った。
≪君はもっと…僕を識るべきだ≫
風の音に混じる白夜の声。
影が自分の足許に帰って来た。
「君は……“風”なの……?」
居なくなった影に問う。
再び白に染まるこの世界こそが【白夜】だと、気付いた頃にはもう、ユメイの意識は遠退いていた。
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