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「これ以上の深入りは危険だな…」ヴィンリーは懸念を抱いていた。
それは、他ならぬ、ジェレフ兄弟との付き合いに関してである。
目の前には、弟の方のイリアが右手にピストルを持って、嬉しそうに座っている。
そもそもの発端は、ヴィンリーが、イヴァン ジェレフと言う人物の身辺調査を、イスラエル側から指令された事にある。
その人物がネオナチの組織内に於いて、かなりの実権を握っていると言う情報が、イスラエル軍内の対ネオナチ匿名班に寄せられたので、その真偽の程の確認と言う事だった。
しかし、実際にヴィンリーが探ってみると、このイヴァン ジェレフなる人物の日常生活からは、ネオナチを窺わせる様な行動は一切見られなく、極く普通の真面目な一人の労働者に過ぎなかった。
そして、その代わりに浮かび上がって来たのが、弟のグリゴールである。
グリゴールは兄イヴァンとは打って変わって、おおっぴらにネオナチとして活動しており、暴力沙汰など日常茶飯事であった。
しかし、ヴィンリーの目に映るその姿は、所謂チンピラであり、年齢的にも大物とは程遠い存在である。
そこでヴィンリーは、取り敢えずこのグリゴールを手なずけて、相手の懐に入ってみる事にした。
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