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シンプルな黒のカーディガン。白地に黒い花が控えめに咲いたフレアスカート。
試着室から出てきた彼女に「少し地味では?」と意見してみたが「これでいいんです」と言い張ってきかないので、仕方なくそれを購入する事にした。
「ちょっとは細く見えるかと思って」
というのは、昨晩俺に脇腹を掴まれた嫌がらせだろうか。
着ている服のタグを店員に取ってもらいながらウェストの辺りに手をやる彼女。
会計を済ませた俺に「お金、後で返します」なんて耳打ちをする。
「いりません」
顔を近づけ、小声でやり取りする俺達を見た店員が「仲良いんですね」なんて見当違いなことを言った。
俺が眉間につけた皺は目に入っていないらしい。
「いいえ!全然!」真っ赤に染めた顔を大きく横に振り、全否定した彼女の言葉に心の中で舌打ちをしたのは言うまでもない。
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